「市街化調整区域(原則として建築行為が制限されている区域)に建っている家は、売れるのでしょうか」——このご質問を、当社はよくいただきます。家自体は現に建って人が住んでいるのに、いざ売ろう・買おうとすると「本当に取引してよいのか」が分からず、立ち止まってしまう。市街化調整区域の家には、そうした独特の不安がつきまといます。
市街化調整区域の住宅は、大きく次の3つのタイプに分けられます。①行政の許可を受けて適法に建てられたもの、②市街化調整区域に決定される前から建っていたもの、③許可の経緯がはっきりしないもの・許可の条件どおりに使われていないものです。どのタイプに当たるかによって、売れる・買えるかは大きく変わります。共通して大切なのは、その家に認められている建築の権利を、買い手へ引き継げる(継承できる)かどうかです。
① 許可を受けて適法に建てられた家
開発許可・建築許可といった行政の許可を受けて、適法に建てられた住宅です。売れるか・買えるかは、価格や築年数よりも先に、その家に認められた建築の権利を買い手へ継承できるかで決まります。代表的なのは次の2つです。
・既存宅地(用途が変わらなければ問題になりにくい)
市街化調整区域に区分される前から宅地であった「既存宅地」に該当する場合、住宅として使い続ける(用途が変わらない)範囲であれば、比較的問題なく売買・利用できるケースが多くあります。買い手も同じ住宅用途で取得するのであれば、過度に心配する必要はありません。市街化調整区域の基本的な仕組みは、「市街化調整区域について」のコラムもあわせてご覧ください。
・分家住宅・農家住宅など(「適法・適切」が前提)
建てられる人や使い方に条件が付いた住宅(属人性のある住宅)です。適法に許可を受けて建てられ、その後も条件どおりに適切に利用されてきた場合には、一定の手続きを経て買い手へ権利を継承させられることがあります。ただし継承の可否や手続きは、許可の種類・建てられた経緯・市町村ごとの運用によって判断が分かれ、「分家住宅だから売れない」とも「必ず売れる」とも言い切れません。一件ごとの確認が欠かせません。
② 市街化調整区域に決定される前から建っていた家
そもそも市街化調整区域という線引き(区域区分)が行われる前から存在していた住宅です。当時の建築確認(確認申請)など他法令上の適法性は備えており、既存の住宅としてそのまま利用できます。「古い家だから売れないのでは」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
建て替えについても、用途や規模が一定の範囲にとどまる許可不要の建替えができたり、既存宅地として改めて許可を受けることで再建築できたりするケースが多くあります。諦める前に、まずどの方法で再建築できる土地なのかを確認する価値があります。
③ 許可の経緯がはっきりしない・条件どおりに使われていない家
反対に、許可を受けずに建てられた家や、許可の経緯がはっきりしない家、許可の条件と異なる使われ方をしてきた家は、その権利を適法な形で買い手へ継承できないことがあります。この場合、買い手は再建築ができなかったり、金融機関の住宅ローンを利用できなかったりして、結果として売却そのものが難しくなります。
「現に建っているのだから大丈夫だろう」と考えてしまいがちですが、建物が建っている現況と、法的に適法かどうかは別の問題です。見た目だけでは判断できないからこそ、売る・買うを決める前の早い段階での調査が重要になります。
相談窓口は一カ所に絞るのが、遠回りに見えて近道
市街化調整区域の家は、市町村の建築・開発の担当課、農地がからめば農業委員会、さらに登記や税金…と、関わる窓口が多岐にわたります。あちこちに個別に相談すると回答が断片的になり、かえって全体像が見えず判断に迷ってしまいがちです。
そこで大切なのが、調整区域の不動産に詳しい相談先を一カ所に絞り、そこを起点に必要な行政協議を整理してもらうことです。土地ごとの経緯をふまえて全体像を一度に把握できるため、不安の解消も、売る・買うの判断も、ぐっと早く進みます。
T-companyができること
T-companyは、不動産仲介と行政許認可(開発許可・農地転用など)の両方を自社で扱っているため、市街化調整区域の家について次のことをまとめて対応できます。
- 売れる家・継承できる家かどうかの見極め現況や許可の経緯を調査し、買い手へ権利を継承できる見込みがあるかを判断します。
- 行政との事前協議建て替え・用途・権利の継承の可否などを、所管の窓口とあらかじめ確認・調整します。
- 売却するかどうかの判断軸の整理そのまま保有する場合・売却する場合のメリット・デメリットを具体的にお示しします。
- 売却・購入それぞれの進め方のご提案売主側・買主側のどちらのお立場でも、安心して進められる手順をご提案します。
「この家は売れるのか」「この家は買って大丈夫なのか」——どちらのお立場でも、判断に迷ったらまずは一度ご相談ください。