相続した空き家の売却にも3,000万円控除がある

不動産を売って利益が出ると譲渡所得税がかかりますが、自分が住んでいたマイホームを売る場合には「3,000万円特別控除」で税金を大きく減らせます。一方で、相続した実家など「自分が住んでいない家」の売却では、原則このマイホームの控除は使えません。

そこで設けられているのが、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。一定の要件を満たせば、亡くなった方(被相続人)が一人で住んでいた家を相続した人が売却したときに、その売却益から最大3,000万円を控除できます。増え続ける空き家を放置せず流通させるための制度で、一般に「空き家特例」とも呼ばれます。

適用を受けるための主な要件

金額の効果が大きいぶん、要件はかなり細かく定められています。主なものは次のとおりです。

これらをすべて満たして初めて適用されます。「相続した古い実家を、空き家のまま、耐震改修か取り壊しをして売る」という典型的なケースが想定されている、とイメージすると分かりやすいでしょう。

いつまでに売る必要があるか——期限に注意

この特例には2つの期限があり、どちらも見落とすと使えなくなります。

特に「相続から3年目の年末まで」という条件は、遺産分割協議や相続登記、買主探しに時間がかかると、あっという間に近づいてきます。空き家を相続したら、売却の意向が固まっていなくても早めに見通しを立てておくことが大切です。

相続人が3人以上のときは控除額が2,000万円になる

控除額は最大3,000万円ですが、その家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、一人あたりの控除額が2,000万円になります。相続人が2人までであれば、一人あたり最大3,000万円です(この取り扱いは令和6年〈2024年〉1月1日以降の売却に適用されています)。

また、家屋を取り壊さず建物付きで売る場合でも、買主が引き渡し後の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを行えば対象にできます。売主側で先に工事をしなくても使えるため、相続した古い家を現状のまま売却に出しやすくなっています。

マイホームの3,000万円控除との違い

名前が似ているため混同されがちですが、別の制度です。

どちらを使えるかは「誰が住んでいた家か」で決まります。相続した実家にご自身も同居していた、あるいは相続後に住んでいた、といった事情があると判定が変わるため、自己判断せず確認することをおすすめします。

手続きで必要になるもの

この特例を使うには、売却した翌年に確定申告が必要です。あわせて、対象不動産がある市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」などの書類を揃える必要があります。要件を満たしているかの判断や書類の準備は専門的になるため、売却の段取りと並行して、税理士や私たちのような不動産会社に早めにご相談いただくとスムーズです。

相続した不動産の売却全体の流れについては、相続した不動産を売却するときの手順と注意点もあわせてご覧ください。

※本記事は2026年6月時点の制度をもとにした概要説明です。適用の可否や控除額はお客様の状況により異なり、税制改正で変わる場合もあります。実際の判断・申告にあたっては、必ず税務署または税理士にご確認ください。