丘陵地では「がけ地」は珍しくありません

不動産は平らな土地ばかりではありません。平野部を離れた丘陵地——名古屋市の東部や知多半島の丘陵エリアなどでは、がけに面した不動産や、敷地そのものががけ地・傾斜地になっている不動産が珍しくありません。道路より一段高い土地、裏手が斜面になっている家、敷地の中に大きな高低差がある土地など、形は様々です。

こうしたがけ地・傾斜地の不動産は、平坦地とは異なる注意点がある一方で、がけ地ならではの魅力もあります。本コラムでは、がけ地のリスクと愛知県のいわゆる「がけ条例」の取扱い、そして意外と知られていないメリットまでをまとめてご紹介します。

がけ地のリスク①:造成費用がかさむことがある

敷地に高低差があると、建物を建てたり建て替えたりする際に土地を平らに整える造成工事が必要になります。1mを超えるような高低差がある場合には、土が崩れないように擁壁(土留め)を設けるなどの大がかりな造成が必要となり、費用が大きくかさむことがあります。擁壁の規模や地盤の状態によっては数百万円単位の工事になることもあり、土地の価格だけを見て購入すると、トータルの費用が想定を大きく超えてしまうケースがあります。

また、すでに擁壁がある土地でも安心はできません。古い擁壁は現在の基準に適合していないことがあり、ひび割れ・はらみ(膨らみ)・水抜き穴の不備などがあると、建て替え時に擁壁の造り直しを求められる場合があります。がけ地の不動産を売買する際は、擁壁の状態と造り直しの可能性まで含めて検討することが大切です。

がけ地のリスク②:土砂災害警戒区域に指定されている場合がある

傾斜地やがけの近くの土地は、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されている場合があります。警戒区域内の不動産は、売買の際に重要事項として説明が必要になるほか、特別警戒区域では建物の構造規制や開発の許可制など、より強い制限がかかります。

指定の有無は、愛知県や各市町村が公表しているハザードマップ等で確認できます。資産価値や売却のしやすさにも影響しますので、がけ地の不動産をお持ちの方・ご購入を検討中の方は、まず指定の有無を確認しておきましょう。

知っておきたい「愛知県のがけ条例」

がけの近くに建物を建てる場合のルールとして、愛知県では建築基準法に基づく愛知県建築基準条例(通称「がけ条例」)に、がけ付近の建築の取扱いが定められています。概要は次のとおりです。

つまり、がけに面した土地は「建てられない」のではなく、「安全を確保するための措置(多くの場合は擁壁)が前提になる」ということです。その措置にどれだけの費用がかかるかが、がけ地の価値を左右する大きなポイントになります。

がけ地には、こんなメリットもあります

注意点の多いがけ地ですが、高低差は欠点ばかりではありません。むしろ平坦地では得られない魅力があります。

リスクとメリットの両方を正しく把握し、「擁壁等にいくらかかるのか」「規制はどこまでかかるのか」を事前に見極めることが、がけ地の不動産と上手に付き合うコツです。

がけ地の不動産こそ、専門家にご相談ください

がけ地・傾斜地の不動産は、がけ条例の適用関係、擁壁の要否と概算費用、土砂災害警戒区域の指定の有無など、調べるべきことが平坦地より多く、査定価格にも大きく影響します。T-companyは不動産仲介に加えて行政許認可・建築設計を併せて手がけており、規制の調査から造成・建築プランの検討、売却・購入のご提案までワンストップでお手伝いできます。がけ地の売却・購入でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

※本コラムは愛知県建築基準条例(がけ条例)等の概要を当社が要約したものです。がけの定義や必要な措置は敷地ごとの判断となり、市町村によって取扱いが異なる場合があります。個別の敷地については特定行政庁(県・市の建築指導課等)への確認が必要です。詳しくは当社へご相談ください。