市街化調整区域(原則として建築行為が制限されている区域)に区分される前から宅地であった土地には、一定の要件を満たせば行政の許可を受けて住宅等を建築できる「既存宅地」という基準があります。「昔から家が建っている土地なのに、なぜ調整区域だと売買や建て替えに手続きが必要なのか」というご相談で、この既存宅地の基準に該当するかどうかがまず論点になるケースは少なくありません。市街化調整区域の仕組み全体については、「市街化調整区域について」のコラムもあわせてご覧ください。
既存宅地として認められる2つの要件
既存宅地に該当するかどうかは、大きく次の2つの要件で判断されます。
- ①線引き前から、登記地目が継続して宅地であること市街化調整区域に区分される前(線引き)から、登記簿上の地目が継続して「宅地」であること。愛知県内では多くの地域で線引きの日付が昭和45年(1970年)11月24日となっており、この日より前から地目が宅地であったかが基準になります。
- ②周辺に50戸以上の住宅が建ち並んでいること対象の土地の周辺に、おおむね50戸以上の住宅が建ち並んでいること。すでに一定規模の集落・住宅地としての実態があることが求められます。
この2つを満たしていれば、行政の許認可手続きを経ることで、どなたでも比較的自由度の高い建築ができます。
既存宅地は「人」ではなく「土地」に付く要件
既存宅地の大きな特徴は、分家住宅や農家住宅のように建てる人の属性(世帯の事情など)に条件が付くのではなく、あくまで土地そのものに認められる要件だという点です。そのため、いったん既存宅地として認められた土地であれば所有者が変わっても要件は引き継がれ、購入した方が新たに住宅を建てることもできますし、建てた住宅を第三者に貸すことも可能です。属人性のある基準との違いはこの点にあります。既存宅地に限らず、調整区域の家が売れる・買えるかの考え方は「市街化調整区域の家は売れるのか/買えるのか」のコラムでも解説しています。
注意したい落とし穴
一見、既存宅地の要件を満たしていそうな土地でも、実際には次のようなケースで要件を備えていない・立証できないことがあります。
- 昔から宅地として使われてきたのに、登記簿上の地目が「宅地」になっていない(田・畑・雑種地のまま)場合
- 登記地目が宅地になった時期が線引き日より後、あるいは比較的最近である場合
- 土地の面積が160㎡未満と小さい場合(小規模すぎると既存宅地として扱われないことがある)
このような場合でも、周辺の状況や利用の経緯によっては、行政と協議のうえで既存宅地として扱ってもらえないか、働きかけられる余地があります。
T-companyができること
T-companyは不動産仲介と行政許認可(開発許可・農地転用等)の両方を自社で扱っているため、既存宅地に関する次のことをまとめて対応できます。
- 既存宅地の該当調査登記簿・古地図等から、線引き前からの地目・周辺の戸数を調査し、既存宅地に該当するかを確認します。
- 行政との事前協議要件を明確に満たさない場合でも、既存宅地として扱えないか所管の窓口とあらかじめ協議します。
- 売却・購入それぞれのご提案既存宅地に該当する土地の売却、また既存宅地の土地をお探しの方への購入のご提案まで対応します。
「この土地は既存宅地にあたるのか」「既存宅地の土地を売りたい・買いたい」——どちらのお立場でも、判断に迷ったらまずは一度ご相談ください。