分家住宅のように属人的な要件で建てられた既存の住宅は、本来その要件を満たす人でなければ権利を引き継げません。しかし相続や高齢化など、所有者側の事情で「その家に住み続けられない」というケースは実際に多くあります。そうした場合の受け皿となるのが「やむを得ない用途変更」という基準です。「建てたが住む人がいなくなった実家をどうするか」という相談で論点になることが多く、市街化調整区域の空き家問題と直結するテーマです。
市街化調整区域の仕組み全体については、「市街化調整区域について」のコラムもあわせてご覧ください。
やむを得ない用途変更とは――愛知県開発審査会基準第16号
愛知県開発審査会基準第16号は、「相当期間適正に利用された住宅等の用途変更」に関する基準です。開発許可等を受けて建てられ、目安として10年以上適正に利用されてきた住宅等を対象に、譲渡人・譲受人双方が要件を満たすことで、第三者への譲渡と用途変更(実質的には権利の引継ぎ)を認めるものです。
譲渡人(売り手)に求められる要件
譲渡人には、適法に建築し、適正に利用されている住宅を手放さざるを得ない相応にやむを得ない事情が求められます。具体的には、死亡・破産・競売・家族状況の変化・転勤転職といった事情が想定されており、単に「売りたいから売る」という理由では認められません。譲渡人側の要件は譲受人側よりも重く見られる傾向があります。
譲受人(買い手)に求められる要件
譲受人(購入者)には、現住居に狭小等の事情があることが求められます。つまり「誰でも自由に買える」わけではなく、今の住まいに困っている人が、住宅を必要とする実需として取得することが前提になっている点が特徴です。
認められるとどうなるか――権利の引継ぎと建て替え
この基準による許可を受けると、譲受人はその住宅を適正に利用できるだけでなく、将来その住宅を建て替えることも可能になります。分家住宅等の属人的な要件をそのまま引き継ぐわけではありませんが、要件を満たした譲受人に限り、実質的にその土地での居住を継続できる仕組みです。
既存宅地・分家住宅との違い
市街化調整区域の3つの基準を比較すると、次のように整理できます。
- 既存宅地:「土地」に付く要件——所有者が変わっても要件がそのまま引き継がれる
- 分家住宅:「世帯」に付く要件——建てた本人・世帯の事情に限定される
- やむを得ない用途変更:本来「世帯」に付く要件を、適正な譲受人に限り例外的に引き継がせる制度
注意点
この基準のポイントは、譲渡人・譲受人双方の適格性審査が厳格に行われることです。単に資金力があるだけでは要件を満たさず、現在の住居事情等の裏付けが必要になります。売却を検討する所有者、購入を検討する買い手のいずれの立場でも、事前の要件確認が欠かせません。
T-companyができること
T-companyは不動産仲介と行政許認可(開発許可・農地転用等)の両方を自社で扱っているため、やむを得ない用途変更に関する次のことをまとめて対応できます。
- 譲渡人・譲受人双方の要件確認建物の適法性、譲渡人・譲受人それぞれの事情が要件に該当するかを確認します。
- 行政との事前協議および許可手続き所管の窓口とあらかじめ協議し、許可申請の見通しを立てます。
- 売買のマッチング要件を満たす譲受人探し・売買契約までワンストップで対応します。
「実家を相続したが誰も住まない」「調整区域の中古住宅を買って住み続けたい」——どちらのお立場でも、判断に迷ったらまずは一度ご相談ください。